写真家の収入源はどうなっているのでしょうか|基準はないようなもの

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写真家の収入源に基準はない!

📷今日はみんなが一番知りたいギャラについて話してみましょう。私はこの世界にずいぶん長くいますが写真家のギャラほどはっきりしないものはないということです。

⭐️一口に写真家と言ってもいろいろあります!

雑誌社や広告代理店と契約して生計を立てている写真家もたくさんいます。こういう写真家は年契約でいくらという人もいますし、全くサラリーマンと同じようにお給料をもらっている人もたくさんいます。

いわゆるカメラマンというのは決して生活が安定しているわけではありません。それは皆さんも想像できるところだと思います。サラリーマンとして写真を撮っている人たちは生活は安定しますが、いろいろと仕事に束縛があるのは当然のことです。社内に上司もいますし、勝手なことはできません。全て会社の言うがままにやるだけです。その意味では普通のサラリーマンとなんら変わりはありません。やっていることは写真の撮影であり、一般のサラリーマンとは違うわけですが生活自体はまさにサラリーマンそのものです。

⭐️フリーランスこそ才能を開花できる!

私はそう思っています。フリーランスは仕事を探さないと食ってはいけません。サラリーマンだと仕事は用意されています。自分のやりたくない仕事かもしれませんが、やるしかありません。

フリーランスは全ての面で厳しいですが、100%自由な活動ができます。私はずっとフリーランスとして生きてきましたし、フリーランスこそが写真家だと思っています。自由のない写真家って意味があるのでしょうか。自分の世界を作れない生活なんて写真家として全く意味がないように思えたからです。

生活の不安定さが写真家としての重要な要素になっているように思えます。行き場のない環境だからこそ自分を磨くことができると信じています。

⭐️でも勘違いしないでください。フリーランスは自分でギャラも決められます。交渉もできます。やり方次第では会社勤めよりもずっとたくさん儲けることができます。私は長年フリーランスですが、会社を設立し何人も雇っています。自分がトップにいれば自由に活動ができます。決して一人でやっているわけではありません。

⭐️私の経験からフリーランスの収入を検証

前置きが長くなりましたが、フリーの写真家の収入を検証してみましょう。

⭐️一般的にフリーの場合仕事を取るのはたやすいことではありません。競争相手がたくさんいるからです。それを覚悟しておいてください。写真家を選ぶのは向こうですし、向こうからの連絡を待つしかないわけです。

まず、雑誌関係だとどこでも大体の経費は決まっています。1ページいくらというわけです。ページによっても値段は違ってきます。表紙なのか、巻頭の大事な部分なのか、カラーかモノクロか、どうでもいいページなのか、などなどです。雑誌によってみんな違ってきますが、日本の場合だと1ページ1万円ぐらいから数万円ぐらいが相場です。海外でも同じような金額です。写真家のレベルによっても多少変わるかもしれません。デジタル処理などの経費はあまり期待しないほうがいいでしょう。自分でやることが多いでしょう。

これは各雑誌によって全て変わってきます。あまり交渉の余地はないと思います。決まっていることなので、というようなことを言われると思います。

雑誌はギャラは安いですが、名前を載せてくれるので世間に自分の名前を知ってもらうのには実にいい媒体です。だからみんなするのです。そこから、広告の仕事が取れる可能性も出てくるわけです。

ただ、雑誌は安いといっても10ページも撮ればまとまったお金になります。馬鹿にはなりません。こんな仕事でも、1ヶ月に数個やれば十分に食っていくことはできます。

また、フリーであっても仕事によってはある種の契約を結べるかもしれません。フリーである以上あらゆる可能性があります。ただ、雑誌会社は経費の面でカメラマンを自分の組織の中に長く置くことを嫌います。新人はいくらでも現れてくることを会社は知っているからです。明確な自分の個性・スタイルがなければ長続きはしないでしょう。

⭐️⭐️では広告ではどうでしょうか。

これもはっきり言って基準はないと思います。広告代理店はある程度のギャラの金額を設定しますが、交渉の余地はあると思います。

日本と海外ではこれもかなり変わってきます。日本では仕事の前にはっきりとしたギャラの金額を広告代理店が言わない場合が結構あります。これも文化なのでしょうか。仕事が終わった後で、使った金額を精査し最終的な金額を決める、というのが多いと思います。

もちろん最初に金額を言ってくる場合もありますが、はっきりしない場合が実に多いというのが現状だと思います。海外を主な戦場にしている私にとっては実にやりにくいシステムです。

代理店の方が私の仕事の出来具合や経費の総額が分かった後でこちらのギャラが決まるわけですから、正直なところ最終的にギャラを言われた時に不快な思いをしたことも多々あります。

海外ではまずはお金の話からします。大体の写真家は自分の1日のギャラを決めています。撮影の日が何日あるのか、予備日があるのか、移動日はどうなるか、などなど大体のことは自分で決めています。

ギャラの話をはっきりしないで仕事の話をするということはまずありえません。ギャラは当然有名な人と無名な人とでは違ってきます。でも広告代理店がどれほどの予算があるのかそれは私たちには分かりません。

海外の場合は全てこういう交渉から始まります。向こうも最終的に何人かの写真家をピックアップしてあり、写真家が出してくる見積書を見比べて、彼らの写真のスタイル、広告の規模などいろいろな要素を天秤にかけて最終的な写真家を決めるわけです。

写真家の方も仕事の規模を念頭に入れて適切な見積書を作ります。写真家はギャラや全ての経費(アシスタント、グリップ、スタイリスト、などなど)を書きます。みんなの昼食に至るまで書き込む場合もあります。写真家が全てをとり仕切る感じでしょうか。それなりに大変な作業になります。大きな仕事になれば実に大変です。通常私は自分のところの専門の人物がやっています。写真家が全てやるのは無理だと思います。時間も膨大になりますし。

私の場合は海外の仕事では1日のギャラは数千ドルから上は上限がありません。1日数万ドルのこともあります。全て仕事の規模によります。

日本の場合は大雑把で、写真家は自分のギャラだけを主に交渉します。他の経費は大体広告代理店がやってくれます。その意味では楽は楽です。仕事が終わった後でないと最終的な金額は出ませんが、自分のギャラだけの交渉なのでかなり楽です。全て仕事の規模によりますが、私の場合は数十万から数百万といったところでしょうか。

仕事単位で広告代理店はいろいろ考えるので、何日かかったからこれだけということもありません。通常はこの仕事でギャラはこれだけ、という感じです。全て交渉次第です。

⭐️総括

自分のギャラだけの交渉なので日本の方が楽といえば楽です。でも仕事が終わった後で「経費が予想以上にかかった」と言って想像以上に安い金額を言われたこともあります。日本人の馴れ合い的な環境だからこうなるんでしょうね。仕事の前に契約書もまずありません。口頭で大体のことを言われるだけです。なんの契約書もないのは日本だけではないでしょうか。

海外では見積書を出すのに苦労しますが、全て書面で残るので契約書と一緒です。法的にも守られます。どんなに経費がかかっても合意した金額はもらえます。守らないと契約違反ということになります。海外は訴訟の多い国です。こういうことはとてもきちんとしています。

どちらがいいんでしょうね。まあ、私はその辺はあまり気にしても仕方がないので、その国のやり方に合わせてやっています。

最後に、雑誌は安いと言いましたが、はっきり言って東京ほど雑誌の多い国はないと思います。1日のギャラが安くてもほとんど毎日仕事をしている人もいます。億万長者もいます。

自分のやりやすい環境に身を置くことが大事だと思います。

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