フィルムカメラはいろいろある
📷そうなんです。フィルムカメラは本当にいろいろあります。いろいろなサイズのカメラがあるのです。
現代のデジタルの世界ではカメラのサイズはそれほど関係ありません。デジタルでは撮影する写真のデータのサイズが大事になります。カメラが小さくても撮った写真のデータが大きければ大きな写真を作れますし、カメラが大きくても小さなデータで撮影すると小さな写真しか作れません。ここが大きな違いです。
⭐️もう少し説明すると、デジタル写真は撮影した後で様々な編集ができます。撮った写真のデータを小さくすることもできますし、ある程度ならデータを大きくすることもできます。色を変えたり、コントラストを変えたり、人の肌のシミを消したり、実に様々なことができます。
でも、フィルムカメラはその点実に単純なのです。小さなカメラには小さなフィルム、大きなカメラには大きなフィルムというわけです。このフィルムの互換性はあまりありません。小さなフィルムを大きなカメラに使うことはできませんし、大きなフィルムを小さなカメラに使うこともできません。
大きなジャバラのカメラではシート状のフィルムを切って小さいサイズのジャバラのカメラに使うことはできますが、これはスタジオで暗室がなければできないことです。
フィルムカメラにはどういうものがあるか概略を説明しましょう。昔はもっと違うサイズのフィルムがありましたが、1970年代ぐらいからの一般的なフィルムについて話をしようと思います。
35mmカメラ
⭐️みんなが知ってるいわゆる一眼レフというカメラはこのサイズのことを言います。代表的なものではニコンやキャノンですね。この種のカメラは一般的に35mmのフィルムを使います。通常は36枚写真が撮れます。ものによっては24枚撮りというのもあります。結構ちゃんとしたカートリッジに入っているのでフィルムを無理やり引っ張り出さない限り感光してしまう心配はありません。フィルムカメラのフィルムはちょっとの光にも触れてしまうと感光してしまって写真を撮ることはできません。
外でのフィルムの扱いが簡単なのでロケなどの時には重宝します。一般的に使われたのはこのサイズです。小さなカメラであっても一眼レフサイズのカメラであっても35mmのフィルムは使えたので圧倒的に便利でした。35mmカメラは比較的小さく、持ち運びには最適でした。
⭐️問題があるとすれば、フィルムの粒子でした。フィルムの粒子は一定なので35mmのサイズだと写真を大きく引き伸ばすと粒子が荒く見えてしまいます。よって広告などでは比較的大きなカメラを使うことがよくありました。現代のデジタルカメラだと、いくらカメラが小さくても画素数の大きいカメラだと大きく引き伸ばしても全く問題はありません。
フィルムカメラの粒状性などは撮ったままなのですね。粒子のサイズを変えることは原則できません。増感をして撮影などすると粒子はますます大きくなるのでその荒い感じの粒子をわざと効果として使うのでなければ結構厳しくなってきます。
ブローニーフィルムが使えるカメラ
一般的に120フィルムとも言われていましたが、ブローニーフィルムとも言われていました。アナログの時代に広告などでは一番使われたサイズではないでしょうか。アマチュアの方ではなかなか使いにくいサイズのフィルムでした。
フィルムを交換するために別のカートリッジにフィルムを入れておかないといけないので、たくさん撮影するときはアシスタントが絶対に必要です。
サイズが大きいということはカメラも大きいということなので、その扱いには苦労します。重さもかなりのものです。一般的に売られていたカメラでは6×4.5 6×6 6×7 6×8などが主流でした。
🔵6×4.5(120フィルムで16枚撮影可能) はフィルムが大きいにもかかわらず機動性もあるので非常に便利なカメラでした。有名なところではペンタックスとマミヤです。ペンタックスは一体型なのでかさばるといえばそうかもしれません。ポラロイドも使えないので不便ですが、操作性は抜群なのとシャッターの感触が素晴らしいので私は好きなカメラでした。
マミヤの6×4.5は実に便利なカメラでした。分解できる構造になっているので収納するときも便利です。ポラロイドも使えます。アナログ時代には私が一番使ったカメラではないかと思います。
🔵6×6(120フィルムで12枚撮影可能) は有名なところではハッセルブラッドです。ボディはスエーデン製、レンズはドイツ製でとにかく高いカメラでした。そのカメラの感触は独特でシャッターの感触も最高です。仕事で使うとなると何台もカメラがいるわけですが、それを考えるとワンセット揃えるのに数百万円は軽くしました。
でも私はあまり使いませんでした。正方形というサイズは現実の広告ではあまり使われないサイズです。カメラマンはある程度トリミングを自分で決めたい傾向があります。それは自分の個性にも関係してくるからです。
それとカメラがほとんど機械式なので、いい面も悪い面もあるわけです。機械式なのでどんな環境でも動くという利点はありますが、究極のアナログの機械なので扱いがとにかく大変です。
フィルムの交換もすんなりとはできないので機動性はあまりありません。三脚を利用しての撮影が主流だと思います。広角レンズや標準レンズでは手持ちでの撮影も可能です。
🔵6×7(120フィルムで10枚撮影可能) で有名なのはマミヤです。マミヤの6×7はスタジオ撮影では一番使われたカメラではないでしょうか。6×6や6×4.5のサイズのバックもあるのでいろんなサイズで撮影ができる便利さもあります。ブローニーサイズで6×7のサイズの写真だと大きく引き伸ばしてもかなりシャープなポスターができるわけです。
でもモータードライブなどを付けるとかなりの重さになるので手持ちではあまり撮ることはないと思います。
🔵6×8(120フィルムで9枚撮影可能)で有名なのはFUJIの68です。このカメラは巨大なので三脚にしっかり付けることが必要ですが、モータードライブの軽快さは格別です。シャッター音が素晴らしかったですね。ただ9枚しか撮れないので少し大変さはありました。でもシャープさはすごかったですね。
ロケなどは大変だった!
仕事となると失敗はできないので、故障することを考えて1つのカメラで最低2台は必要になります。毎回撮影に出るときには膨大なカメラの量になったわけです。その他様々な備品、レンズ、フィルムなどを合わせるとその量は膨大なものでした。
⭐️でも、カメラを用途によって使い分けるというのはアナログ時代の楽しみの1つでもあります。中古カメラ屋さんなどに行ってみてください。違ったカメラを見る楽しみというのは実際に使ってみないと分からないと思います。
フィルムカメラの真の楽しさというのはこういうところにあります。