酒は適量なら体にいいというのは嘘なのか?|酒は危険ということ?

お酒は少量であっても健康に悪い!?

トレンド記事は湯気の立っている話、耳よりの話が好まれるが、びっくりする話、ぎくっとする話もいい。これは人によっては、いや、ひょっとするとかなり多くの人がぎくっとする話だからトレンドバリュウーは高い。何と、酒は少し飲んでも体に悪いという衝撃的な論文が発表されている。「酒は百薬の長」というセリフがわやになるという、酒飲みたちには穏やかでない話だ。

問題の論文は二つある。一つは、2018年4月に医学雑誌Lancet(ランセット)誌に掲載された英ケンブリッジ大学などの研究(Lancet. 2018;391(10129):1513-1523.)で、ここでは死亡リスクを上げない量は純アルコールに換算で週に100gが上限としている。もう一本はその4ヶ月後に同じLancet誌に載せられた論文で、これによると195ヵ国で23のリスクを調べた結果として、健康への悪影響を最小限にしたいなら「酒はゼロがいい」と結論付けている。ということは、少々の酒は体にいいという酒飲みの理屈は成り立たないということだ。これは酒飲みにはきつい話だ。

筑波大学地域総合診療医学の吉本尚准教授は、飲酒と健康をテーマを研究している飲酒と健康の専門家だ。吉本教授曰く、毎日60g以上の酒はすべての病気のリスクを高めることは以前から知られていた、という。つまり飲む量を減らす、減酒はすべきだということは分かっていたというのだ。

2000年、厚生労働省は『健康日本21(第1次)』で、適量として1日平均純アルコールで約20g程度という数字を明文化した。「適量」として20gが示されたのは、画期的なことだった」と吉本教授はいう。

昨年の二本目の論文、「基本的に飲酒量はゼロがいい」という結論について吉本教授は、かなりインパクトがある論文として研究者の間で話題になっており、『全く飲まないことが健康に最もよい』と結論づけている意味が大きい、という。『飲むなら少量、だができたら飲むな』ということだという。

要するに、これらの論文が登場したことで、医師や研究者が簡単に「少量の飲酒が体にいい」とは言えなくなってきたのだ。飲む人より飲まない人の方ががんの発症リスクが低いことも後押ししている。

ということで、「酒は百薬の長」はどうやら死語になったようだ。それでも酒飲みがいなくなるなどは考えられないから、イタチごっこになり、酒と健康は依然として課題として残るだろう。

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