重力波望遠鏡のKAGRAが完成しました|いよいよ稼働しました!

⭐️宇宙といえば上空、地上遙かな世界という印象なのですが、ここに地下深いも宇宙があるという話をお話ししよう。

KAGRAというのをご存知ですか?漢字で書けば神楽という言葉ですが、これは巨大な宇宙観測施設で、岐阜県飛騨市にある神岡鉱山の地下200メートルにある「宇宙」なのです。これは東京大学などが7年まえから建設を進めている施設で、質量のある物体が動いた際に空間の歪みが波になって伝わる「重力波」を捕捉するための施設です。

施設の運転開始を記念する式典が10月4日に開かれました。同大学からは宇宙線研究所の梶田隆章所長などが出席、ボタンを押して装置を稼働させました。

⭐️KAGRAは2本のパイプをL字につなぎ合わせた形状で、パイプの長さは3キロ、つなぎ目の部分から放射されるレーザー光が先端の鏡で反射して戻ってくる光を観測する仕掛けで重力波による空間の歪みを観察します。レーザー光が戻までの時間の変化でその様子を捉えようというものです。

宇宙のことは宇宙でなければと考える思考回路に、どうやら歪みが出てきたようです。東京大学宇宙線研究所の梶田所長は、「将来のの天文学では観測に重力波という新しい方法が取り入れられて、重力波あればこそ見えなる宇宙の姿が明らかになる」と話しています。

重力波の観測施設は、KAGRAを含めて世界で4基あり、なかでもKAGRAはレーザー光を反射する鏡を氷点下250度ほどに冷やしでノイズの発生を抑えるという、ほかにはない特徴があります。

⭐️重力波はアインシュタインが1916年、一般相対性理論に基づいて予言しました。光は重い天体の近くではまっすぐに進まず、時間がゆっくりと進みます。強い重力で辺りの空間が歪んで時間の進み方が遅くなるからだといわれています。天体が揺れ動けば空間のゆがみもつられて揺れ動き周囲に波のように伝わる、これが重力波です。ただ重力波の観測は難しく、アインシュタインの予言から一世紀経って、技術進歩と研究者の創意工夫とで実現したのです。
鉱山の地下にあるKAGRAは、重力波検出の邪魔になる車や工場などの人工的な振動がありません。いま稼働したことで、米欧の施設と連携して初めて全天をカバーする重力波の観測体制が完成しました。

⭐️さらに、次世代プロジェクトの準備も世界各国で始まっています。地下と並行して人工衛星による重力波の観測です。最終目標は、地上では捉えることができない宇宙誕生直後の重力波、「原始重力波」の検出です。重力波天文学は将来さらに大きく発展すると期待されています。

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