天皇の即位時に行われる大嘗祭のお米について考えてみましょう!

五月の改元で平成から令和になりました。西暦のほかに昭和や平成などの元号を使うしきたりは日本独特で、新天皇の即位に伴って2019年つまり平成三十一年は五月一日から令和元年に切り替わりました。

独特といえば、元号ばかりでなく天皇を戴く国として世界には例のない行事や儀式が今も行われています。今日はそのなかで、天皇の即位に伴って行われるあるユニークな儀式のお話しです。

天皇が即位されるときに大嘗祭という伝統儀式があります。そのとき使われる特別な米は「斎田」と呼ばれる田圃で栽培、収穫されます。斎田は二カ所、今日9月27日、収穫の儀式「斎田抜穂の儀」が今年は西と東、京都と栃木で行われました。斎田は年毎に卜い(うらない)で決められるというのもユニークです。

西の「主基」地方は京都府南丹市、東の「悠紀」地方で、宮内庁の担当者(掌典)のほか地元の知事や農協の関係者が参加して稲刈りをしました。その稲刈りも「斎田抜穂の儀」と呼ばれる伝統儀式ですから、昔からのしきたりが細かい処に生きています。

南丹市での様子は・・・。まず斎田の周囲にしめ縄が張られて「斎場」が設けられています。テント張りの神殿に「抜穂使」の掌典が入り収穫を告げ感謝する祝詞(のりと)を読み上げます。その後に、田んぼの耕作に当たった「大田主」と呼ばれる地元農家の男性10人ほどが黒いえぼしに白い装束という姿で田んぼに入って稲を刈り取ります。

刈り取った稲は4束ごと白木の台(「三方」とよばれる)に載せて斎場に運ばれます。「抜穂使」が確認した稲は殿舎に置かれて、儀式は一時間ほどでが終わります。何とも古めかしい、それでいてしっとりと伝統が生きた儀式ですね。

こうして収穫された米はおよそ1500キロ、宮内庁が精米180キロと玄米7.5キロを買い上げて皇居に運ばれます。

中山久夫さんは地元南丹市の農家、仲間と参加した印象を「きょうを迎えることができて感激した」と話し、南丹市の西村良平市長は「陛下にもどんどん食べていただきたい」と抱負を述べました。

一方、東の「悠紀」地方、栃木県高根沢町でも、同じ時刻「斎田抜穂の儀」が行われました。この日栃木県地方は晴天で、儀式は滞りなく済みました。伝統儀式ですから内容は寸分違わず、収穫し米は精米180キロと玄米7.5キロが皇居に運ばれました。

京都と栃木の「斎田」で収穫された米は「大嘗祭」の儀式が行われる皇居東御苑の「大嘗宮」の一角に収められます。大嘗宮はこの7月に地鎮祭が済み、現在金属製の足場が組まれ大型のクレーンが作動して大小30余りの建物の工事が進められており、斎田で収穫された米をおさめる「斎庫」も併せて設営されます。

そのなかで、「悠紀殿」や「主基殿」などは、木造の骨組みや板ぶきの屋根がすでに出来上がり、いま外壁や内装の工事が進められています。

建物をつなぐ廊下の設営や敷地に砂利を敷く作業が済めば、大嘗宮は来月中には完成します。古来の伝統が生きる大嘗祭、それを支える斎田抜穂の儀と瑞穂(みずほ)の実り、日本はやはりユニークな国です。

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