首里城全焼のショック!
10月31日未明、沖縄の首里城に炎が上がった。北風に煽られた炎は11時間燃え続け、城の主正殿や北殿、さらに南殿を総なめに焼き尽くす大火災となった。琉球王国時代から伝承の貴重な収蔵品の多くが焼けた。世界遺産の首里城は一夜にして跡形もなく消えた。消防によれば火元は正殿と見られ、火災による熱が強く消防隊が現場に立ち往生の間に炎が風で燃え広がっていったという。翌1日、現場検証で出火の原因を調べるという。
首里城は琉球王国時代の500年以上前に建てられ、戦前に3回焼失した。再建後、正殿は大正14年(1925)に国宝に指定された。戦時中の沖縄戦で焼失、平成4年に正殿が復元されて平成12年の九州・沖縄サミットで各国首脳の夕食会の会場にもなった。
たまたま首里城公園では、今月27日から毎年恒例の「首里城祭」が始まっており、来月3日までさまざまなイベントが予定されていた。
初日は700人余が参加する華やかな「琉球王朝絵巻行列」が行われ、今週末の3連休中の来月3日には、国家の安寧と五穀豊穣を祈願するため、琉球国王がお寺を参詣(さんけい)する様子を再現した「古式行列」など、数々のイベントが予定されていた。
首里城を管理する沖縄美ら島(ちゅらしま)財団によれば、全焼した正殿などには琉球王国時代から伝承の絵画や漆器、それに染織物などが収蔵されていたという。ほかに17世紀前半に琉球王国に仕えた絵師による絵画など、県指定の有形文化財もあるという。それら全焼した収蔵品の数など詳細について、財団では調査を始めている。
首里城全焼を伝える号外は朝7時半に市内に流れ、市民はそれぞれに驚きと落胆の声を挙げた。ある20代の女性は、想像を超えた燃え方に驚き「ショックが大きかった」と息を弾ませ、「(首里城は)小学校の頃、社会科学習で訪れた身近なところでした」、復旧への寄付の動きが出れば「少しでも協力できるかなと思います」と語った。
観光で首里城を訪れた宮城県の50代の男性は、「残念です。前に訪れたことがあるのでショックが大きい、一日も早い復旧復興を祈ります」と語った。
午前8時すぎ、市役所での記者会見で城間那覇市長は、「歴史的な財産、シンボルが失われとても落胆している。観光で首里城を訪れる人たちのことを考えると、残念至極で、首里城全焼の観光への影響は計り知れない」と述べた。