日本ラグビーチームは平尾誠二の命日にワールドカップで大一番!

ラグビー・ワールドカップ、いざ準決勝へ

ワールドカップで準決勝トーナメントへの出場が決まった時点で、これは祝杯ものだった。それはそうだろう、日本ラグビーはベストエイト出場を宿願に、営々と努力を重ねて今回遂にそれを実現、準決勝に駒を進めた。さて、いざ決勝トーナメントとなり曰く付きの南アフリカと準決勝を戦うとなると、俄然欲が出て、いまや「あわや決勝へ」の気持が高まるばかりだ。

南アフリカは、ラグビー・ワールドカップで3回目の優勝を目指す世界ランキング5位の強豪、前回大会の1次リーグ初戦で日本と対戦して「世紀の番狂わせ」と呼ばれるまさかの敗戦を喫したが、大会直前のテストマッチでは41対7で完勝して通算成績は1勝1敗だ。だが、連勝して波に乗る日本チームを大いに警戒しているのは間違いない。

10月15日の記者会見で南アのラジー・エラスムスヘッドコーチは、「日本は、先月戦っ以来から大きく向上している。われわれも向上して、かなり多くトライを決めてきた。準々決勝では多くトライを狙う。フレンドリーな試合にはなるまいと思う。アップダウンの激しい試合になるだろう。ボールを回していって出てきたらすぐに動いていく必要がある。攻撃的なラグビーをしたい」と語った。

エラスムスヘッドコーチはその席で20日の先発メンバーを発表、1次リーグ第3戦のイタリア戦と同じくハンドレ・ポラード選手を司令塔にコリシ選手やコルビ選手、フッカーには、日本が持ち味とするスピードへの対応能力が高いムボゲニ・ムボナンビ選手を入れて、世界最高峰と呼び声の高いマルコム・マークス選手をあえて外した。芸が細かい布陣だ。大会直前の先月6日に日本とテストマッチを行ったときと12人が同じだ。

そのテストマッチで3つのトライを奪い、20日には日本代表の福岡堅樹選手と同じウイングで先発するマカゾレ・マピンピ選手は、「日本のウイングに勝てるか分からない。私が先に疲れるか、向こうが先に疲れるか。かなりいい戦いになるだろう。日本のウイングは足が速くて強いがわれわれも速い。対戦を楽しみにしている」と語った。

また、控えメンバーのプロップのスティーブン・キッツォフ選手は「ベンチから入って、インパクトを与えること、先発と同じ役割を遂行できるかどうかが大事だ。特に最後の20分は激しさが予想されるので、体力勝負だ。終盤に近づくほど激しい試合になるだろう」と予想する。

今大会2つのトライをあげているセンターのルカニョ・アム選手は、1次リーグの4試合を通じて日本の成長を指摘、「強い日本に対して、状況に応じたプレッシャーの与え方など対応を変えていく。相手はボールをキープすることがうまいので、われわれは準備している計画通り、しっかりボールをキープできるよう試合を展開したい」と語った。『フェラーリ』と呼ばれる松島幸太朗選手と福岡堅樹選手の2人のスピードへの対策を聞かれると、「対策は練っている。練習でやっていることをやりきるだけだ」自信を覗かせた。

さて、日本チームはどうか。

三日後の南アとの準決勝に向けて、17日、都内での練習で入念に調整、公開された冒頭15分では、スクラムの要である稲垣選手やフッカーの堀江翔太選手がリラックスした様子でストレッチなどに取り組む様子が印象的だった。

練習後の記者会見で稲垣選手は、南ア戦のスクラムのポイントについて「試合全体を通して各自が細部にこだわる日本流のスクラムをできるかどうかが大事だ。足を何センチ前に出せるか、その何センチがカギになる。ディテールへの拘りを忘れないようにしたい」と気を引き締めていた。

また、堀江選手は「スクラムは8人全員が意一体になれるかどうか。1人でも力が抜けると相手の強さに持っていかれる。そこがキーになる」と語った。

フランカーとしてここまで全4試合にフル出場して攻守でチームを引っ張っている姫野和樹選手は25歳、南ア線への抱負を聞かれて、
「南アフリカの強みであるフィジカルに対して、自分がボールを持って前に出られるか、すごくワクワクしている。相手の攻撃も強力だが、日本は何年もかけてどんどん前に出て止める『ラッシュディフェンス』を磨いてきた。スピードのある守備でプレッシャーをかけていきたい」と意気込みを語った。

また、全4試合に途中出場しているスクラムハーフの田中史朗選手は「台風19号の被害に遭われた方々のために、日本のためにという思いが強い。日本の皆さんに勇気を届けられるよう全力で体を張りたい」と胸を張った。

日本のディフェンス担当のスコット・ハンセンコーチは「体が大きくボール運びが得意な南アフリカとは、やはりフィジカルの勝負になる。相手の勢いをどう止めるかがカギで、2人でタックルするダブルタックルなどがポイントになる。接点での戦いで勝利して流れを引き寄せたい」と宣言した。

ラグビー・ワールドカップ、1次リーグ4連勝で初のベスト8入りを果たした日本は、3日後の今月20日、東京 調布市で勇躍優勝候補の一角、南アフリカとの準々決勝に臨む。

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