来年はマグロ寿司が楽しめる?|和食の華が世界に広まった今後は?

来年はマグロ寿司が楽しめる?!

和食の華「マグロ寿司」が世界に広まったのはいいのだが、水産資源の管理で肝心の日本で寿司などの値段が上がり、庶民の味だったマグロの握りも気楽には食べられなくなっていたが、どうやら来年は良い方へ様変わりしそうだ。それというのも、資源管理が行われている太平洋のクロマグロについて、来年は都道府県ほとんどで今シーズンより多くのクロマグロを漁獲できるようになる見通しだからだ。その理由は、というと、何と台湾から300トンの漁獲枠が日本に譲られることになったからだという。嬉しい話ではないか。台湾さまさまである

水産庁の発表によれば、来年4月から始まる来期シーズンに沿岸で行う太平洋の大型クロマグロの漁獲量は今期シーズンより246トン増の1817トンになる。都道府県別の漁獲枠は次の通りだ。

▽青森県が467トン
▽北海道が314トン
▽沖縄県が192トン
▽長崎県が167トン

ほとんどの都道府県で、今シーズンより多くの本マグロの漁獲量が増えている。

ただ、資源管理がより厳しい30キロ未満の小型のクロマグロの場合は状況が異なる。沿岸の漁獲枠が全体で1805トンに抑えられ、都道府県別では

▽長崎県が657トン
▽青森県が256トン

など、一昨年決められた枠を大幅に超えて漁獲した北海道は11トンに留められている。これは別の魚と一緒に網にかかるマグロを想定しての枠で、漁獲枠としては3期連続で事実上ゼロとなっている。

水産庁はこの配分案について一般から受け付けたあと、来月を目処に最終決定する方針だ。

さて、マグロは稲やジャガイモと違って人間が栽培できない天然資源で、資源量は消費量次第で増減する。確かに養殖漁業で「栽培」はしているが比率的に限られており、問題はやはり天然水産資源の消費制限、いわゆる漁獲制限をいかに効果的に実施するか、ということになるが、これが思うようにいかないのが現実だ。

2008年にはクロマグロでこんな例がある。この年の総漁獲量は約6万トンだったが、これは予め合意された総漁獲可能量3万2千トンを大きく超過していたのだ。当時は大半のクロマグロが日本へ輸出されていたから、日本での違法製品のの消費が問題視され、輸入業者は疑わしい製品の輸入を止めるなどの対応に追われた。

それにしても、親日の台湾からのクロマグロの贈りもので時期シーズンはマグロ寿司が余慶に食べられるかも、との朗報は大歓迎だ。だが考えて見ると、生魚を直(じか)に食べる「和食の味」を世界に広めた結果マグロ寿司が食べ難くなったとは、何とも皮肉なブーメラン現象だ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA